【コラム掲載にあたって】
ドッグサロンのホームページ上でこの度コラム(ブログ)を始めようと思い、ここに2度目の記事を掲載させていただきます。
当店の宣伝になる言葉や事柄など間接的に表現として偏ってしまう語句が少なからず含まれるかもしれませんが、このコラムを一読いただける読者様になるだけ有益な記事になるよう、できるだけ中立的な立場に立ち、20年以上このペット業界にかかわらせていただいている経験や体験を基に綴らせていただきますのでお付き合いいただければ幸いです。
そして更新頻度は当店のスケジュール次第となることも併せてご理解いただければ幸いです。
【美容に苦手意識のあるワンコさんの概念(前提)】
まず今回もこの記事を最後までご覧いただくことによって、美容の概念や、ワンコさんにそのためにかかる負担、ワンコさんの深層心理や、なぜワンコさんにとって美容が大切なのかが理解でき、気づくことだったり、そして新たな視点が生まれ、視野が広がること請け合いですので是非ご一読ください。
美容(トリミングやグルーミング)に対して苦手意識をもつ犬(以下ワンコさん)は非常に多く居られます。
ワンコさんにとって美容の定義とは、「つらくて、しんどくて、できたらしたくないもの。」
そのため抵抗があって当然とも言えますが、ワンコさんは『人の手がないと快適に生きていけない』のもまた事実。
例えば柴犬や、キャバリア、シェルティー、など年がら年中抜け毛が多い犬種であれば、『換毛期』という春先から秋口にかけてまで抜け毛がピークに達する時期があり、この時期に毛が生え変わる期間(個体差によりこの時期は変動します)というものがあります。
(そのためこれらの犬種はあえてハサミで毛を短くしたりする事が不要です。)
換毛期でなくとも日々のブラッシングを疎かにしてしまうと、本来抜けるはずの毛が体中に停滞し、思うように換気(新鮮な空気が外部から体中に行き渡りづらい状況が生まれる)ができず、夏場だと熱中症を招く原因ともなります。
かたや爪切りを疎かにすると地面を歩く際、伸びてくる過程で爪が歩く支点となり(本来は肉球が支点でなければなりません)、その状態が続くと足先の骨格が変わり、爪が奇形に伸びてしまい、挙げ句体全体の姿勢が変わり、内臓の位置が変わり、神経痛はじめ万病の元になりかねません。
詳しくはコチラ(下記)の動画にて、
(※また改めてブログにて後日詳細は綴ります)
そのために日頃のケアは大事であり、ワンコさんにとって『犬の美容室』は、生活するうえで必須のサービスだと言えます。
人の美容室での目的は『おしゃれになるため』『体裁を整える』など「美への追求」という目的がほとんどなのに対して、人と同様でワンコさんの美容も「美の追求」という側面や意味合いもありますが、人は毎日入浴やシャンプー、体を洗う事が基本的マナー(前提)としていることに対してワンコさんの美容(トリミングやグルーミング)の場合、シャンプーやお手入れは『美容室』で行うことが前提とされているため、理想的目安は1周間に一回。基本は2周間に1回。
遅くなったとしても1ヶ月に1度は必ず美容室に行っていただきたい。
遅くなったとしても1ヶ月に1度は必ず美容室に行っていただきたい。
遅くなったとしても1ヶ月に1度は必ず美容室に行っていただきたいです!
(大事なことなので何度も念押しで伝えたい!)
その理由は、突っ込んでお話をすると1本のコラムでは伝えきれないので、今回は端的・簡単に申し上げると、ワンコさんの皮膚から出る「皮脂」はシャンプー後24時間後に分泌されると言われていて、その皮脂がお家の中に居ても、お外のお散歩をしていても太陽から出る「紫外線」によって反応し、発酵。
結果時間が経つにつれ雑菌が繁殖しやすい環境となり、放って置くとその雑菌がガスを発生させるようになり、そのガスが「体臭のもと」になります。その雑菌がガスを出すまでの期間がワンコさんの場合7日から10日ほどと言われております。
(ちなみに下手にご自宅等で自己流や簡単なシャンプーしてしまうと洗い方によりますが、翌日に体臭化してしまうことも)
そして体から分泌されるその皮脂(体)発酵の問題に限らず、ワンコさんをお手入れしなければならない部位は、耳や爪のお手入れ、肛門腺(肛門内側の両脇にある分泌物が溜まる袋)など、その「お手入れする範囲」は多岐にわたり、人の手で全身をくまなく美容(全身のエステ)を施さないと、清潔さは保てないため、ワンコさんにとって『犬の美容室』とは、生きるうえで必要不可欠なものとも言えます。
とはいえ、このテーマの冒頭付近でお伝えした通り、ワンコさんにとって美容は少なからず負担がかかります。
その苦手意識や、それに対しての反応や行動はワンコさんそれぞれによって異なりますし、苦手だと感じるトリミング(お手入れ)の項目にもそれぞれ違いがあり、それを見極めることや、ワンコさんに寄り添う意識はプロのお仕事の基本としてもっていたい部分に想います。
ただし人に危害を加えるワンコさんについて、それを制したりすること(お仕事)は私達グルーマー(美容師)の範疇ではなく、トレーナーさん(訓練士)の領域になります。
なおかつ、当店で万が一スタッフがご利用いただいているワンコさんに噛まれてしまった場合、その事象自体が非常事態であり、あってはならないことです。
だからこそ美容は『人に危害を加えることがない』ということが前提であり、そうでなければ美容以前の問題です。
私達グルーマーのお仕事は、お店さんでその基準に多少の違いはあるものの上記に記載したとおり「人に危害を加えない」事が前提であり、この記事の基準として、あくまでそのお手入れに対して他のワンコさんと異なる動き(明らかに逃げ出そうとする、少し怒ったように見せる、抵抗と感じる行動や動きがある程度)であることを前提とさせてください。
【その苦手ワンコさんに対してまず守っていただきたい『たった一つ』のルール】
このテーマでは結論であり、まずこれだけは『絶対に守っていただきたい』テーマであり、美容苦手を克服する方法の基礎となる部分をお伝えさせていただきます。
当店が考える美容に苦手意識のあるワンコさんに対して、大事なのはこの『一点』に尽きます。
それはそのご家族の方(ご利用いただく方)に守っていただきたいルールです。
そのルールとはズバリ『お店が定める定期的(理想的)な美容期間を守る』ということです。
美容に対して抵抗があるということは、以前の美容(苦手になった発端がお店での美容か、はたまた自宅での美容なのかでもアプローチは変わります)ですでに何らかの「トラウマ」を抱えてしまっている。ということなので、それに対するアプローチを考えなくてはなりません。
そしてご利用される一般の方で多くの方の考察として多いのが、
『一度犬の美容室に頼んだらリセットしてくれたようにキレイにしてくれる』
という考えをお持ちの方も居られます。が、2ヶ月や3ヶ月(たまに年に一回みたいな方もお問い合わせがありますが)などご利用期間がまちまちで汚れきってしまったワンコさんが美容して子犬の頃のようにキレイにもとに戻ることはありません。
美容できれいになったとしてもそれは外見(見た目)だけの話、その美容(全身エステ)するまでの期間のダメージは体の内部や、目に見えないところに蓄積しているため、それが期間が開けば開くほどダメージは大きくなります。
なおかつ1度の美容で完全にゼロクリアーにすることは、どんなグルーマー(美容師)でもできません。
それは上記の【美容に苦手意識があるワンコさんの概念】でお伝えした通り、期間が開けば開くだけ、それだけストレスや負荷は目には見えない形で外見にも体内にも蓄積している。ということです。
(例として長期間爪を切らず、地面を爪が支点となって歩行した事による曲がった足先の骨格は美容では治せません)
なおかつ当店では『長期的目線で無理をしない美容』を基本としていて、その結果として最終的ゴールは『ワンコさんに美容好きになってもらうこと』を目標に掲げております。
現時点で当店ではその長期的に付き合っていく方法でしか、ワンコさんが美容に対しての苦手意識や、トラウマとなってしまった原因を理解し、解決するまでには至らないと感じております。
そのため何かしらトラウマ化してしまった美容(お手入れ)に対して1回でお利口さんに、かつ全てキレイにできる魔法のような美容は残念ながら20年以上この業界に居る人間として1度も見たことがありません。
ワンコさんのトラウマを人に置き換えて考えると、その方の諸事情などにもよりますが、登校拒否をし続けているお子さんがなんの対策も講じず翌日すぐ普通に登校できるわけはなく、心療内科医に行けば誰でも1回で心身ともに健康になるということでもありませんよね。
ワンコさんも人と同様に、そのトラウマ化している原因をまず究明し、そこにどういったアプローチが有効か?
お店や美容を行う側の人間として、ワンコさんに対して何ができるのかを考えることが、もっとも問題の根本を解決するのに近道だと考えます。
まずはその原因究明が最優先であり、人同士然り、ワンコさんと人との間にもコミュニケーションや絆の構築が大切であり、それを1度だけで行うのは、プロと言えど至難の業。
初対面で出会った人を心から信頼できる関係にもっていくことが難しいように、ワンコさんを1度の美容(しかも数時間)で理解してもらい、慣れてもらうということもまた難しく思えます。
たとえ1度ですべて美容ができたにせよ、美容期間がまちまち(2ヶ月や3ヶ月に1回など)だとコミュニケーション(そのワンコさんへの理解や絆を深めること)を図ることが難しく、関係も絆もなかなか構築されず、美容に対して悪い印象を持つワンコさんを20年以上の経験から多く見かけます。
そのため定期的に美容室に通わなければ、美容苦手克服の根本の原因解決につながらない場合が多いのです。
だからこそ皆さんには是非『お店が定める定期的な美容期間を守る』ことは実践していただきたい基本の部分となります。
もしもそのルールを守らず、期間がまちまちとなると、その店でも充分なサービスをご提供できない(お店さんの意志にそぐわない)形となり、最悪のケースを考えると、コミュニケーションが充分でないワンコさんがご来店頂いた際、前述でお伝えした通り、店内でスタッフがワンコさんに噛まれてしまうという事故にも繋がることもあり、それ自体が緊急事態であり、絶対にあってはならないことです。
だからこそご利用いただく方に守っていただきたい一つのルールは、ワンコさんの美容は『お店が定める定期的(理想的)な美容期間を守る。』
するとコミュニケーションが円滑に進み、結果絆構築や美容のトラウマもスタッフをワンコさんが信頼することによって、美容への負担も軽減していくことでしょう。
これからも引き続き当店は、ご利用いただくご家族の方や、パートナーであるワンコさんにも定期的美容室へのご利用をオススメすると共に、その理解を深めつつ、ご家族や、ワンコさんに寄り添う為に何ができるかを思慮深く考えるために、この章ではご家族の方には守っていただきたい【たったひとつのルール】をこのテーマで挙げ、深堀りさせていただきました。
【当店が考えるアプローチ方法】
ここまで【苦手意識のあるワンコさんの定義】、【守っていただきたいたった一つのルール】を踏まえたうえで、次の動画をご覧ください。
この柴犬さんは水自体に恐怖心があり、ご来店当初。
シャンプーする際、シンクから飛び出そうとしていたワンコさんですが、美容回数を重ねる度に、徐々にその動きに変化が現れはじめました。
そして現在(2024年2月時点)ではここまで成長してくれました。
一体この子に何が起こったのか?
それを言語化することはワンコさんの心の中を覗くぐらいなかなか難しいですが、当店はこの子だけでなく、落ち着いて施術してくれるワンコさんの共通点を創業12年以上の実績をふまえてここにまとめさせていただきます。
まずご来店当初から、ここまで落ち着いてシャンプーさせてくれるまで約2年ほど時間がかかっているということ。(ちなみに2年ほどでここまで落ち着いてシャンプーさせてくれるのはめちゃくちゃ成長が早いです)
そしてその間お店でのシャンプーのスタイルは変えずに、この柴犬さんに寄り添ったシャンプーを追求し続け実践してきたということ。
その変わらないシャンプーのやり方はコチラ↓
シャンプーのやり方や、解説をこのコラムで表現するのもまた1本のコラムになりますので、この動画をご参照いただきたいのですが、簡単に申し上げると、いかにワンコさんに苦手と思わせず、「嫌だなぁ~と思わせるようなスイッチを押さないこと」に尽きます。
シャンプーでの最中ワンコさんに対して配慮できることを追求して、そのワンコさんのルールを把握し、スタッフ間で共有するということを当店では実施しております。
そしてそれを継続し続けること。
某アニメの先生の一言ではありませんが、『諦めたらそこで試合終了です。』
そのために寄り添いながら、継続する。これがお利口さんに上記の動画のように柴犬さんが身を預けるようにシャンプーしてくれている要因に感じます。
当店には実に様々な悩みを持ったワンコさんがご来店くださいます。
このワンコさんもそんな美容に対して苦手意識を抱える1頭ですが、お顔周辺を触れられることが抵抗があるため口輪(以下マスク)をつけながらの美容となりました。
動画内ではお顔のスタイリングはできていますが、日によっては充分にスタイリングすることはできず、できるかできないかはその日のこのワンコさんのコンディションにもよります。
先程の黒柴ちゃんも当店とのお付き合いは5年以上になりますが、いまだに苦手な美容項目はあり、すべて克服するまでまだお時間は必要に想います。
ただそれでも現在克服できている部分も多く、成長してくれていることも確かです。
そのためこれからも諦めず、そのワンコさんに寄り添ったトリミングやグルーミングというワンコさんの美容を磨くことは諦めません。
そして何もワンコさんは苦手意識があるワンコさんばかりが当店の課題ではなく、歳を重ねて(10歳後半を迎えられた、いわゆる老犬さんの美容)足腰にチカラが入りづらくなっているなど、そのワンコさんによってお悩みは異なり、ご利用くださるご家族の方からのご要望も多岐にわたります。
以下参照動画
そのご家族の方の目的にしっかりとアプローチしつつ、ワンコさんにも美容の理解を深めて好きになってもらえるようコミットする形で、一貫したプロとしてのお仕事をこれからもさせていただきます。
最終的に慣れてくれると、まるでお家でゆったりと寛いでくれているような、美容でなく、マッサージされているようなこんなワンコさんも当店にはご来店いただいております。
そんなワンコさんが1頭でも多くなりますように、1頭でも美容を好きになってくれる子が増えますように、愛情込めてまるで自分の愛すべきパートナーであるワンコさんを大切に扱うかのように、1頭1頭大切に美容をさせていただきます。
本日もここまでのご一読誠に感謝申し上げます。